法人向けの火災保険

動産保険

法人所有の動産に必要な補償契約方式
わかりやすく解説

法人が加入する動産保険は、動産の「保管中」「運送中」「展示中」などの時の事故に対して幅広く補償してくれます。
しかし、補償対象となる「動産」や補償対象になる「事故、災害」には制限があります。
そのことを知らないまま保険に加入すると、万が一の時に保険金が支払われないなど、大変なことになります。
そこで、こちらの記事では、法人の動産保険の補償対象や補償内容について詳しく解説していきます。

法人の加入する
動産保険とは

動産保険とは、法人の保有する不動産以外の財産を補償する保険です。
法人が保有している、「設備、什器」「リース品」「現金、有価証券」「商品」「在庫品」「展示品」等の事故の際の損失を補うことができる保険です。
火災保険と混同して間違われやすい保険ですので、内容をしっかりと理解して加入するようにしてください。
既に加入している法人は、加入している動産保険が自社のリスクに合っているのかをしっかりと確認するようにしてください。それでは解説していきます。

法人向けの動産保険
補償の対象

動産保険で補償対象になる「動産」とは

動産保険は、事故によって法人が保有する「動産」に損害が発生した時に補償してくれる保険です。
補償される範囲が非常に幅広いのが特徴です。
しかし、動産保険で対象になる「動産」の範囲には制限がありますので注意が必要です。
動産保険の動産とは、

  • 不動産以外の財産
  • 火災保険や自動車保険でカバーできない物

このような制限があります。
具体的には、動産保険の「動産」の対象になるものは下記のようなものがあります。

  • 机、椅子、パソコン、プリンター等の事務機器や什器(「法人用特定動産契約」)
  • 商品、在庫品、展示品(「商品・在庫品契約」、「展示品契約」)
  • 現金、小切手、手形(「現金・有価証券契約」)
  • ヨットやモーターボート(「ヨット・モーターボート総合保険」)

このようなものが動産保険の対象となります。
一方で、動産保険の対象とならない動産には以下のようなものがあります。

  • 自動車
  • 船舶
  • 航空機
  • プラント一式
  • 不動産に準ずる物件(橋梁、塔類、エスカレーター、エレベーター、ガスタンク等)

これらの動産は別に個別の保険があるので、対象外となっています。

動産保険で補償対象になる「損害」とは

動産保険の補償対象となる損害についても解説します。
動産保険は動産が下記の状態にある時に補償されます。

  • 補償を制限する場合もあります。
  • 保管中の損害
  • 運送中の損害
  • 展示中の損害

これらの状態にある時に下記のような損害を補償します。

  • 火災、水災、爆発、破裂
  • 落雷、風災、雹災、雪災
  • 盗難
  • 破損
  • 輸送している車両などの事故
  • 労働争議に伴う暴行
  • 水濡れ
  • 建物や橋梁の崩壊
  • 従業員の誤操作等

これらのリスクをすべて予防するのは難しいことです。
万が一の事態を想定して、動産保険への加入をおすすめします。

動産保険の補償対象外のケース

補償範囲が非常に広い動産保険ですが、補償対象外になる事故もあります。
動産保険で一般的に 補償対象外になるケースは下記になります。

  • 商品特性により補償をする場合もあります。
  • 地震、噴火、津波、 水害などの損害
  • 法令違反、故意、重大な過失がある事故
  • 戦争や紛争
  • 自然の経年劣化(サビ、カビ)
  • 犯罪行為
  • LEDや電球などの経年劣化による損害
  • 運送中に起こった破損
  • 美術品などの破損での価値低下
  • 棚卸などの品切れ
  • 有価証券の勘定違い
  • 偽造通貨などの損害
  • データやプログラムなど情報のみの損害
  • 水害(保険会社によっては特約で付帯可能)

このような損害や事故については補償対象外になります。
万が一の事故の際に「実は補償されていなかった」ということにならないようにしっかりと確認するようにしてください。

動産保険に加入した方がいい法人とは

動産保険に加入をおすすめする法人は下記のような法人です。

  • リース業を行っている法人
  • 動産を保管、販売、展示を行っている法人
  • 在庫高が変動する自社商品を保管している法人
  • 現金や小切手(有価証券)を保有している法人
  • 高価な動産を保有している法人
  • ヨットやモーターボートを福利厚生で保有している法人

では、順番に解説します。

リース業を行っている法人

リース業を行っている法人は動産保険は必須の保険と言えます。
リースをしている動産が破損してしまった場合には、リース業者と借主のどちらで補償をするのかということでトラブルになる可能性があります。
また、リース業者が補償することになったとしたら、高額な損失が発生する可能性があります。
また、顧客側が補償するとしたら、顧客が離れてしまう可能性があります。
そのための、リース業者があらかじめ動産保険に加入して、リスクに備えておくのがおすすめです。 一定の規模であれば、リース包括契約という個別の契約方式を結ぶことも検討しましょう。

動産を保管、販売、展示を行っている法人

自社で動産を保管、販売、展示を行っている法人も動産保険への加入をおすすめします。
自社で保管、販売するために展示しているような動産は、万が一の時にはすべて自社で負担する必要があります。
時には大きな損害額となることもありますので、動産保険にリスクを移転するのが重要となります。

現金や小切手(有価証券)を保有している法人

常に現金や小切手などの有価証券を保有している法人も動産保険への加入が必要です。この場合は「現金・有価証券契約」という契約方式になります。
現金や小切手などの有価証券は、火災になった場合には多くの損害となる可能性があります。
また、現金や小切手などの有価証券は盗難のリスクが非常に高いです。
そのために、現金や有価証券を多く保有し、保管している法人は動産保険への加入が必要になるのです。

高価な動産を所有している法人

多くのPCを保有している法人や、高額な動産(貴金属や美術品、骨董品)などを保有している法人も動産保険への加入が必要です。
この場合は「法人特定動産契約」という契約方式で契約します。
万が一の事故の際には、多額の損失が想定されます 。事故の際に自社で損失額を賄うためにも動産保険への加入を検討する必要があります。

ヨットやモーターボートを福利厚生で保有している法人

ヨットやモーターボートは専用の保険である、「ヨット・モーターボート総合保険(以下、YM保険)」への加入が必要です。
YM保険は、自動車保険のヨット・モーターボート版というイメージで、船体の補償、事故を起こした際の相手方への賠償、搭乗している方のケガの補償で構成されている保険です。
特にモーターボートの船体補償では、エンジンの焼き付き(焦げ付き)による損害を起こすと、高額な費用がかかりますが、一般的な保険では免責となっている場合もあります。
加入の際には補償内容を十分ご確認のうえで、加入を検討する必要があります。

動産保険の
契約の時の注意点

動産保険に加入するときの注意点は、「地震と水災」は補償対象外ということです。
地震による損害は、企業向けの火災保険の地震危険補償 特約で補償を付帯することが必要になります。
また、水災についても基本的には補償対象外となります。
保険会社によっては、特約で水災を付帯できる商品もありますので、ご加入中の保険会社に確認をするようにしてください。
もし、特約でも水災が補償されない場合には、企業向けの火災保険で補償をカバーする必要があります。

よくある質問

保険の対象となるリース物件は?

補償される損害は?

補償の対象から除外される主な損害は?

保険の有効期間は?

保険金額は?