総合賠償責任保険とは
総合賠償責任保険とは、企業が抱える業務上のリスクの賠償責任をセットで包括的に補償する保険です。保険会社によっては、別の言い方をする場合もあります。
賠償責任保険には様々な種類がありますが、企業の賠償責任に対してのリスクを1種類の賠償責任保険でまかなうことはできません。
そのために、複数の賠償責任保険に加入することになりますが、「補償の重複」「補償の漏れ」などが心配されます。
そこで、総合賠償責任保険で法人のリスクをまとめてカバーするの がおすすめの方法です。
総合賠償責任保険の補償内容
総合賠償責任保険でカバーできる補償は、以下のとおりです。
- 業務上での不測の事故のリスク
- 所有、管理する施設に起因する事故のリスク
- 製品や商品、仕事の結果に起因する事故のリスク
- 預かったものを破損、汚損させてしまった場合のリスク
- 受託不動産に損害を与えてしまった場合のリスク など
それでは、一つづつ解説していきます。
業務上での不測の事故のリスク
業務活動中の事故で損害賠償責任を負ってしまった場合の補償です。
例えば、
- 飲食店で料理を提供する時に誤ってこぼしてしまい、お客様にやけどを負わせてしまった場合
- 工事中に、現場近くの通行人に工具を落としてケガを負わせてしまった場合
- 店舗で火災が発生してしまい、お客様にケガを負わせてしまった場合
などなど。
このような場合に発生する、第三者への賠償責任をカバーするための補償です。
所有、管理する施設に起因する事故のリスク
法人が所有、管理する施設で利用者にケガを負わせてしまったり、利用者の持ち物を壊してしまった場合など、管理する施設に起因する第三者賠償の補償です。
例えば、
- 店舗の床が濡れていて利用者が滑って転び、ケガをさせてしまった場合
- 事務所の棚が倒れて、来客者にケガを負わせてしまった場合
このような場合のための補償です。
一般の賠償責任保険では「施設賠償責任保険」単体でカバーできる補償になります。
製品や商品、仕事の結果に起因する事故のリスク
販売した製品や商品によってお客様にケガを負わせてしまったり、工事の欠陥によってお客様の身体や財物に損害を与えてしまった場合の補償です。
例えば、
- 飲食店で提供した料理が原因で、お客様が食中毒になってしまった場合
- 製造した商品の欠陥により商品が発火してしまい、お客様の住宅が家事になった場合
- 排水管の工事に不具合があり、水漏れを発生させてしまった場合
このような場合のための補償です。
一般の 賠償責任保険では、「PL保険」単体で カバーできる補償になります。
預かったものを破損、汚損させてしまった場合のリスク
お客様や取引先の法人から預かったものを、破損させてしまったり、紛失してしまった場合の補償です。
例えば、
- お客様から修理のために預かっているものを破損させてしまった場合
- 販売や保管、運送のために預かった荷物を破損させてしまった場合
このような場合のための補償です。
一般の賠償責任保険では、「受託者賠償責任保険」単体でカバーできる補償になります。
総合賠償責任保険の注意点
総合賠償責任保険の注意点を解説します。
- 法律上の賠償責任が発生しないと補償の対象にならない
- 国内の事故のみが対象になる
- 必要のない補償が付帯されていることがある
- 特殊なリスクを補償したい場合には、別途に専用の保険が必要になる。
このような注意点があります。
それでは一つづつ解説していきます。
法律上の賠償責任が発生しないと補償の対象にならない
原則として賠償責任保険は「法律上の賠償責任」が発生しないと補償の対象にはなりません。
国内の事故のみが補償対象になる
多くの総合賠償責任保険は、国内の事故のみが補償対象となっています。
そのために海外で事業活動をしている法人は、補償対象の地域ではどのような補償が必要なのか、海外の取引先からはどのような補償が求められているのか、などをしっかりと確認してから加入するようにしましょう。
必要のない補償が付帯されていることがある
総合賠償責任保険は、一般的な賠償責任がセットになっている商品です。
そのために、必要のない補償もセットされていることがあります。
セットされているからといって、貴社にとって必要な補償であるとは限らないため、補償内容をしっかりと確認して加入するようにしてください。
総合賠償責任保険のような包括契約ではなく、一般の賠償責任の組み合わせで加入する方が、最適な内容（補償、保険料）になる場合もあります。
特殊なリスクを補償したい場合には、別途に専用の保険が必要になる
総合賠償責任は、代表的な賠償責任の補償を包括的にカバーするためのセットとなっている商品です。
そのために、特殊なリスクや、法人様固有の個別の約款に対応できていない場合があります。
例えば
- 個人情報漏えいに対しての補償
- 運送業者のための賠償責任
- 自動車修理業者のための賠償責任
- 専門職業人、士業の業務遂行に関する賠償責任 など
これらの補償が必要な場合には、専用の保険商品への加入や、保険会社によっては特約の付帯が必要になります。